サムスングループ傘下の2つの会社による合併をめぐって、国際裁判所が韓国政府に対してアメリカのヘッジファンドに総額1300億ウォンを支払うよう命じた判決について、韓国政府は、判決の取り消しを求める訴訟を起こしたと明らかにしました。
サムスン物産の株を7%保有していたアメリカのエリオット・マネジメントは、2015年のサムスン物産と第一(チェイル)毛織の合併によって損害を受けたと主張し、合併を成立させた責任は韓国政府にあるとして、国際裁判所に提訴しました。
当事、エリオットは、合併の際に用いられた株式の交換比率に強く反対しましたが、韓国政府傘下の団体で、サムスン物産のさらに大口の株主である国民年金公団が賛成するなどして、合併は承認されました。
エリオットは、当時の大統領府など韓国の政府機関が国民年金公団に賛成票を投じるよう圧力を行使したと主張し、韓国政府が韓国とアメリカのFTA=自由貿易協定で定めた義務に違反したとして、2018年7月、国際裁判所に仲裁を申し立て、裁判所は先月、エリオットの訴えを認め、韓国政府に1300億ウォン相当を支払うよう命じました。
法務部は、国民年金公団が合併に賛成するために議決権を行使したことは、エリオットの投資を妨害するための措置だったとは言えず、裁判所の判断は、自由な取引を保証する商法の原則に反するものだとして、賠償命令を取消すために訴訟を起こしたと説明しました。
また、裁判所が国民年金公団を「事実上の国家機関」と見なしたことについても、そもそも「事実上の国家機関」という概念は、韓米のFTAで想定されていないとして、これに基づいて国家の責任を認めるのは不当だと主張しました。