韓国では、小学校の教師が児童から暴行されるなどの事件が相次いでいることを受け、児童生徒の人権に関する制度を見直すことで、教師が適切に指導を行える環境を整えるべきとの声が高まっています。
李周浩(イ・ジュホ)副総理兼教育部長官は21日、学校の教員らと懇談し、「児童・生徒の人権を過度に強調する制度のために教師の正当な教育活動が萎縮しないよう、学生の人権条例などを見直す」と表明しました。
学校でのトラブルをめぐっては、先月30日、ソウル陽川(ヤンチョン)区内の小学校で、6年生を受け持つ教員が、担当するクラスの男子児童に数十回にわたり暴力を振るわれる事件がありました。
また、今月18日には、ソウル瑞草(ソチョ)区のある小学校で、1年生の担任教員が自殺し、警察が捜査を進めています。
この教員は、最近起きた校内暴力事件で保護者の抗議を受け、苦しんでいたものとみられています。
この件についてソウルの教職員組合は20日、ソウル教育庁前で記者会見し、真相の解明を求めるとともに、教育環境の改善を訴えました。
韓国では、2000年代に入って児童福祉法が強化されましたが、児童・生徒の人権のみが強調され、教師側の教える権利の保護がないがしろにされているという認識が広がっています。
教育界では、一部の児童や生徒による授業妨害などが深刻化しているにもかかわらず、児童虐待として通報されることをおそれて教師が正当に指導できないのは問題だと指摘する声が上がっています。
教育部によりますと、児童・生徒やその保護者から暴行を受けた教員は2018年に172件だったものが、去年は361件と倍以上に増えています。