日本人2人を含む159人が亡くなったソウル梨泰院(イテウォン)の転倒事故に関連して、行政安全部長官の責任を問う弾劾審判で、憲法裁判所は訴えを棄却しました。
憲法裁判所は、25日午後2時、国会が提出した、李祥敏(イ・サンミン)行政安全部長官に対する弾劾訴追を棄却する判決を言い渡しました。
出席した9人の裁判官全員が同じ意見でした。
これにより、李長官は5か月半ぶりに職務に復帰しました。
今回の弾劾審判の争点は、李長官が事故を予防する義務を果たしたか、事故後の対応は適切だったか、長官として国家公務員法が定める誠実さと品位を維持する義務を守ったかの3点です。
憲法裁判所は、「梨泰院転倒事故は、一つの原因や特定の人物によって起きたものではない」としたうえで、「李長官が災害安全法に違反し、国民を守る憲法上の義務を果たさなかったと判断するのは難しい」と説明しました。
事故の原因などに関する李長官の発言が国家公務員法に違反するかどうかについては、「発言は、国民の誤解を招く余地があり、不適切だと」としながらも、「李長官の発言が災害安全管理の機能を損なわせたと見なすのは難しく、罷免を正当化できない」と説明しました。
ただ、事故後の対応については、「行政安全部長官として対応が不十分だったことを反省し、災害対応能力の向上に努める義務がある」と指摘し、「被害者と遺族の苦しみと悲しみを分かち合い、回復に向けた支援を行うべきだ」と強調しました。
今回の審判は、閣僚に対する憲法史上初の弾劾審判でした。
野党3党が共同で発議した、行政安全部長官に対する弾劾訴追案は2月8日、国会の本会議で可決され、憲法裁判所で審理が行われていました。