韓日間の懸案となってきた徴用訴訟問題をめぐり、韓国の地方裁判所は、韓国政府の解決策に従って申請された供託の手続きを受け付けない判断を示しました。
徴用工訴訟問題では、2018年の最高裁に当たる大法院の判決により勝訴した徴用被害者ら15人のうち、4人の当事者や遺族が、政府が示した解決策を受け入れず、政府傘下の財団からの供託金の受け取りを拒否する意向を示しています。
韓国政府は、受け取りを拒否している原告などを対象に、政府傘下の財団が裁判所に支払い金額を供託する手続きを進めていますが、受理されないケースが相次ぎ、財団側が裁判所に異議を申し立てていました。
このうちの1件について、全州(チョンジュ)地方裁判所は15日、財団側が行った異議申し立てを棄却しました。
全州地方裁判所は、「債務弁済に関して当事者が拒否の意思を示せば第三者が弁済できない」と定めた民法第469条を根拠にあげ、「債権者が明示的に反対しているにもかかわらず利害関係のない第三者の弁済を認めることは、損害賠償制度の趣旨と機能を害する恐れがある」としています。
今回の判断により、供託を通じた解決策が行き詰まる可能性が高まったものとみられます。
光州(クァンジュ)地方裁判所と水原(スウォン)地方裁判所でも同様の審理が進められていて、今回の判断がどのような影響を与えるのか注目されます。
今回の裁判所の判断について、外交部は抗告する意向を示しました。
外交部の当局者は16日、「解決策の趣旨にのっとり、被害者の円滑な被害の回復に向けて最善を尽くしている」とし、「抗告などの法的手続きにより裁判所の正しい判断を引き続き求めていく」と述べています。