韓国で2011年まで販売されていた加湿器用の殺菌剤について、政府がこの殺菌剤に含まれる毒性成分と肺がんの関連性を初めて認めました。
この加湿器用殺菌剤は、イギリスに本社を置く多国籍企業「レキット・ベンキーザー」の韓国法人が、2001年から2011年半ばまでのおよそ10年間にわたって販売したもので、製品には有害な化学物質が含まれていたため、使用した人のなかから多くの死傷者が出ました。
検察は、事件の発覚から5年が過ぎた2016年に捜査チームを立ち上げ、韓国法人の元代表などが処罰されました。
その後、2017年8月に「加湿器用殺菌剤による被害救済に向けた特別法」が施行され、肺の繊維化などが救済の対象に含まれましたが、肺がんについては認定が保留されていました。
そして今月5日、環境部は、肺がんによって亡くなった被害者1人について、加湿器用殺菌剤の毒性成分による被害であることを初めて認めました。
今回の認定は、高麗(コリョ)大学安山(アンサン)病院で加湿器用殺菌剤の被害を専門に研究する保健センターがマウスを使って行った実験に基づき、「加湿器用殺菌剤の成分PHMGへの露出が肺がんを引き起こす可能性がある」という研究結果が決め手となりました。
加湿器用殺菌剤による肺がんと認められた場合、存命の被害者には治療費や療養手当などが支給され、亡くなった被害者の遺族には、弔慰金や葬儀代などが支給されます。
加湿器用殺菌剤の被害を申請している人のうち、肺がんと診断された人は合わせて206人です。
ただ、環境部は、加湿器用殺菌剤を使用したあとに肺がんにかかった場合でも、殺菌剤以外の要因によって発病した可能性があるため、個別に検討して判定する必要があるとしていて、被害者らが実際に救済を受けるには相当の時間がかかるものとみられます。