北韓への不正送金疑惑に関連して、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に対する逮捕同意案の採決が今月中に行われる可能性が高まっています。党内では、李代表寄りの議員を中心に逮捕同意案に反対する声が大きい一方で、不正に対する党の対応を改めるべきだという意見も強く、党内の対立が激しくなるものとみられます。
この問題は、2019年に、当時、京畿道(キョンギド)の知事だった李氏が北韓への訪問を試みた際、李氏の代わりに韓国の下着メーカー大手、サンバンウルグループが、いわば北韓への謝礼として300万ドルを支払ったとされているものです。サンバンウルは、京畿道が支払うべき北韓への支援金500万ドルを肩代わりした疑いも持たれています。
検察は12日、この件に関する李氏への取り調べを終了しました。
検察は、当時、大統領選の有力候補だった李代表が、政治的な影響力を高めるために北韓への訪問を試み、その費用をサンバンウルに負担させたとみて、李氏を第三者供賄の容疑で捜査しています。
李代表は、北韓への訪問を準備する過程において、いかなる不法行為もなかったと反論しました。
検察は、早ければ来週はじめにサンバンウルグループをめぐる第三者供賄の容疑と、京畿道城南(ソンナム)市長時代の都市開発事業をめぐる背任容疑で李代表への逮捕状を請求するものとみられ、来週末には逮捕同意案が国会に提出されるものとみられます。
国会議長は、逮捕同意案が提出されたあと、初めて開催される本会議で逮捕同意案に関する報告を行い、72時間以内に採決しなければなりません。
逮捕同意案は、在職中の議員299人の過半数である150人以上が採決に参加し、そのうちの半数以上が賛成した場合に成立します。
「共に民主党」に所属する議員の数は現在160を超えていて、ことし2月にも、複数の不正容疑で提出された李代表への逮捕同意案が否決されています。
「共に民主党」は、党の体質改善を図るため、ことし5月に「革新委員会」を立ち上げ、7月には、国会議員の不逮捕特権を放棄する内容の決議案を採択しました。
不正に対する党への批判が強まるなか、李代表に近い議員と、改革を進めるグループとの間で、対立がさらに深まる見通しです。