与党「国民の力」は、党の体制を刷新するために立ち上げた「革新委員会」の委員長に、韓国とアメリカの国籍を持つ、延世(ヨンセ)大学の印曜翰(イン・ヨハン)教授を任命しました。
「国民の力」は、今月11日に行われたソウル江西(カンソ)区の区長を選ぶ補欠選挙で、公認候補が最大野党「共に民主党」の候補に大敗したことを受け、党を刷新するための革新委員会を立ち上げ、23日、延世大学医学部の印教授を委員長に任命しました。
「国民の力」の金起炫(キム・ギヒョン)代表は、印委員長に対し、委員会の構成や活動範囲などにおいて全権を委ね、独立的な判断を保障すると強調しています。
印氏は全羅南道(チョンラナムド)順天(スンチョン)出身で、1980年の光州(クァンジュ)民主化運動では、市民軍側の通訳として活動しました。
アメリカ人宣教師だった曽祖父の代から4世代にわたり宣教と医療活動を行ってきた功績が認められ、2012年に特別帰化者の第1号となりました。
韓国は2重国籍を認めていませんが、経済、科学、文化などの分野で専門的な知識や技術を持ち、韓国の国益に寄与すると認められる優秀な外国人に対しては「特別帰化者」として、もとの国籍を維持したまま韓国の国籍も与えています
韓国出身でない人物が主要政党の革新機関のトップを務めるのは、これが初めてです。
印教授は就任式のスピーチで「考え方は違っても、人自体は憎まない統合を推進していきたい」としたうえで、故・李健熙(イ・ゴニ)サムスン電子会長の言葉を借りて「妻と子供を除いて、すべて変えなければならない」と述べ、「統合」と「変化」をキーワードとして掲げました。
「国民の力」の内部では、革新委員会が実際に全権を持ち、独立した活動ができるかどうかに、刷新の成否がかかっているという見方が出ています。
さらに、党内部の事情をよく知らないことに加え、政治経験のない印教授が党の刷新をリードできるか、一部から疑問の声も上がっているということです。