凶悪犯罪者の厳罰化をめぐって議論が続く中、法務部の韓東勲(ハン・ドンフン)長官は、「永久に隔離すべき犯罪者が存在するのは明白だ」としたうえで、死刑の執行や終身刑の導入が必要だとする立場を示しました。
韓国には、日本と同じく終身刑が無く、死刑の次に重い処罰は、仮釈放の可能性がある無期懲役刑となっています。
また、韓国では、1997年12月以降、死刑の執行が行われておらず、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、韓国を「実質的な死刑廃止国」として分類しています。
韓長官は7日、国会の予算委員会で、「10人を殺害したにも関わらず、反省していない人を10年後、20年後に社会に送り出す国は、世界に類を見ない」と述べ、現状の法制度では凶悪犯罪者に対する処罰が軽すぎると指摘しました。
そのうえで、国民が安心して暮らせるように、仮釈放の可能性がない終身刑の導入が必要だと説明しました。
与党「国民の力」と政府は、ことし8月に終身刑の導入を進めることなどを発表し、先月30日に刑法の改正案を国会に提出しました。
一方、死刑を執行する設備が無い地方の刑務所に収容されていた死刑囚2人がことし9月、死刑の執行が可能なソウル拘置所に移送されました。
これについて、法務部の関係者は、「行政上、必要な措置だ」と説明していますが、死刑の執行を念頭に置いているという見方も出ています。