法案の成立と、放送通信委員長の弾劾が天秤にかけられた形となった国会での与野党の駆け引きの結果、最大野党「共に民主党」は10日、放送通信委員長に対する弾劾訴追案を一時撤回しました。今月30日の国会本会議にあらためて提出する方針です。
「共に民主党」は9日、放送通信委員会の李東官(イ・ドングァン)委員長に対する弾劾訴追案を、国会本会議に提出しました。
「共に民主党」は、▲放送通信委員会が、5人の定員のうち3人が空席となっている状態で、主要案件を与党系の委員長と副委員長だけの賛成で議決したことは放送通信法に違反し、▲放送通信委員会がフェイクニュースの根絶を理由に放送局に報道の経緯に関する資料の提出を要求し、憲法上の言論の自由を侵害したと主張して、放送通信委員長の弾劾を求めています。
弾劾訴追案は、本会議に提出された24時間後から72時間以内に採決されなければなりません。
与党「国民の力」は当初、9日の本会議で「共に民主党」が主導する労働関連および放送法関連の法案の可決を防ぐため、所属議員が長時間にわたって演説を行うことで議事進行を妨害する予定でしたが、放送通信委員長の弾劾訴追案が提出されたことを受けて、長時間演説の予定を中止しました。
国会の本会議は、当初、今月は9日にだけ開かれる予定でしたが、野党が進める法案の可決を防ぐために与党の議員が長時間演説を行って、翌10日まで本会議が長引いた場合、別件で野党が進めている放送通信委員長の弾劾訴追案の採決が可能になってしまうためです。
9日の本会議で、法案が採決にかけられ可決された一方、本会議が終了したことで弾劾訴追案を採決に持ち込めなくなった「共に民主党」は、訴追案を一旦撤回し、今月30日と来月1日に本会議が2日連続で開かれるタイミングをねらってあらためて提出する方針です。
弾劾訴追案が国会の本会議で可決されれば、憲法裁判所の判決が出るまで委員長の職務は停止となり、放送通信委員会は副委員長のみの1人体制になり、事実上、業務が遂行できなくなります。