職場での重大な災害が起きた際に事業主を処罰するための法律が制定されるきっかけとなった、発電所での死亡事故をめぐって、最高裁にあたる韓国の大法院は、安全対策を怠った罪に問われていた発電所の経営者に対して、無罪を言い渡しました。
重大災害処罰法では、常勤の労働者が50人以上いる現場で死亡事故などの重大な災害が発生した場合、安全対策義務を怠った事業主と経営責任者を処罰できるとしています。
大法院は7日、産業安全保健法の違反や業務上過失致死の罪で裁判にかけられた韓国西部発電の前代表に無罪を言い渡した2審の判決を確定しました。
韓国西部発電が運営する泰安(テアン)火力発電所では、下請け会社に所属していた労働者1人が、2018年12月に、石炭を運ぶためのベルトコンベアに挟まれて亡くなっています。
検察は2020年8月に、韓国西部発電の前代表をはじめ、この会社と下請け会社の役員ら14人を起訴しましたが、1審と2審はいずれも、前代表については、ベルトコンベアの危険性を具体的に認知する立場になかったとして、無罪を言い渡していました。
一方、大法院は、下請け会社の役員と社員に対しては、業務上の注意義務を果たさなかった責任が認められるとして、有罪判決を言い渡しました。
重大災害処罰法は、この事故をきっかけに、おととし1月に制定され、去年1月末から施行されています。