来年の総選挙まで4か月を切るなか、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の側近で、検察出身の韓東勲(ハン・ドンフン)前法務部長官が、与党「国民の力」の顔となる非常対策委員会の委員長に就任しました。
「国民の力」は26日に全国委員会を開き、韓氏を党の非常対策委員長に任命する案を議決しました。
非常対策委員会は、政党の代表が任期中に辞任した場合などに設置され、臨時的に執行部の役割を果たします。
「国民の力」では、委員長、院内代表、政策委員会議長を含む最大15人で構成されます。
「国民の力」の前代表、金起炫(キム・ギヒョン)氏は、党内の運営がうまくいっていないことへの責任を取り、今月中旬に辞任しています。
現在、国会で過半数の議席を握っているのは、野党「共に民主党」で、与党「国民の力」は次の総選挙で議席を大きく伸ばすことを目指しています。
非常対策委員長は事実上、党の代表の役割を果たすため、韓氏の就任は、総選挙に向けて党の刷新を有権者に印象付ける狙いもあるとみられます。
韓氏は就任演説で、自身が来年の総選挙に出馬しない意向を示したうえで、最大野党「共に民主党」に対して、宣戦布告とも取られる発言を行いました。
韓氏は、今の政治が、1960年代生まれで80年代に軍事独裁政権に反対する学生運動に関わった左翼の政治家によって牛耳られていると非難し、「左翼による特権政治を終わらせることが今、時代に求められている」と強調しました。
野党が、来年の総選挙を、発足から3年目を迎える尹政権に対する中間評価として位置づけ、政権批判を行うことで有権者に訴える構えであるのに対して、与党は、有権者の関心を学生運動出身の民主党の政治家への批判につなげることで、政権への批判をかわすとともに、支持を集めたいものとみられます。