尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の夫人、金建希(キム・ゴニ)氏をめぐっては、株価操作に関与したとされる疑惑について特別検察が捜査を行うための法案が先月28日に国会で可決しましたが、尹大統領は、この法案に対し拒否権を行使しました。
この法案は、金建希氏が2009年から2012年にかけて、ドイツ車の輸入販売会社の株価操作に関与したとの疑惑に関して、政府から独立した「特別検察官」による捜査を実施するためのもので、過半数の議席を占める最大野党「共に民主党」などが主導して、先月28日の国会本会議で可決していました。
尹大統領がこの法案を5日に拒否したため、法案は国会で再議決されることになりました。
国会の再決議で法案が成立するためには、国会議員の過半数が出席し、出席した議員の3分の2以上が賛成する必要がありますが、与党が議席の3分の1以上を握っているため、法案は廃案になる可能性が高いとみられます。
大統領室の秘書室長は、「法案の狙いは、4月の国会議員総選挙に向けて世論を動かすことで、多くの問題がある」としています。
現職の大統領が、身内の不正疑惑について、「特別検察官」による捜査を行うための法案に対して拒否権を行使したのは初めてです。