韓国では、滋養にいいとして犬の肉を食べる習慣が古くからありますが、犬を食用として飼育することや食肉として処理することなどを禁じる法案が、国会で可決されました。食用自体は禁じられませんが、飼育や流通が禁止となることから、法律が施行されれば、犬の肉を食べることができなくなります。
国会は9日の本会議で、「犬の食用目的の飼育・食肉処理および流通などに関する特別法案」を可決しました。
犬の食用をめぐっては、動物愛護の観点から、禁止を求める声が高まっていました。
2022年の調査では、犬の肉を食べない人が85%に達しています。
こうした世論の高まりを受け、与党「国民の力」と政府は、去年11月に特別法を制定する方針を発表し、野党「共に民主党」も、これに同意していました。
この法案は、食用を目的に犬を飼育・繁殖したり、食肉処理する行為や、犬肉を加工した食品を流通・販売する行為を禁止する内容を骨子としています。
飼育・繁殖・流通を行った場合は2年以下の懲役または2000万ウォン以下の罰金、食肉処理した場合は、3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金に処せられます。
法案では、現在、犬肉の食用に関連する仕事に携わっている事業者に対して、各自治団体への届け出を義務付けていて、国や自治体はこれらの業者が廃業や転業する際に資金援助する内容も盛り込まれました。
ただ、法律に違反した場合の罰則条項は、公布後、3年間の猶予期間を経て施行されます。
韓国では現在、全国でおよそ1100の業者が50万匹あまりの食用の犬を飼育しているということで、業界は、補償内容が不十分だとして強く反発しています。