おととし、ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)で起きた転倒事故をめぐり、大勢の人が集まることを知っていながらも対策を講じず、被害の拡大を防がなかった疑いで検察に書類送検されているソウル警察庁長について、検察の捜査審議委員会は、業務上過失致死傷の疑いで起訴するよう勧告しました。
検察の捜査や起訴が適正に行われているかを審議する捜査審議委員会は、検察の中立性や透明性を高めるため、アメリカの大陪審や日本の検察審査会を参考に、検察の傘下に設置された外部機関です。
委員会は、外部の専門家、最大300人のなかからランダムに選ばれた15人で構成されます。
委員会の決定に法的な拘束力はありません。
梨泰院転倒事故に対する現職のソウル警察庁長、キム・グァンホ容疑者をめぐっては、事件の当日、多くの人が梨泰院を訪れることをあらかじめ認知していたにもかかわらず対策を講じなかったとして、警察が去年1月、業務上過失致死傷の疑いで検察に書類送検しています。
また、事件当時、龍山(ヨンサン)消防署の署長だったチョ・ソンボム容疑者は、救助活動の指揮を怠った疑いで検察に書類送検されています。
ただ、2人を起訴するべきかについて、検察の内部で意見が分かれ、1年経った今も判断がついていません。
こうしたなか、李沅䄷(イ・ウォンソク)検察総長は、捜査審議委員会の立ち上げを要請し、15日、委員会が開かれました。
委員会では、ソウル警察庁長のキム容疑者を起訴すべきだという意見が9対6で多数となり、在宅起訴を勧告しました。
チョ容疑者は、1対14で不起訴とする勧告案が議決されました。
検察は、捜査審議委員会の勧告を検討したうえで、近く結論を出すものとみられています。