政府は、およそ10年後の2035年に医師が1万5000人ほど不足すると見込んでいて、こうした状況に対応するため、大学の医学部の定員を増やすなど、医療改革に向けた政策を発表しました。
政府は1日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が開催した国民生活に関する討論会で「命と地域を生かす医療改革」と題した政策を発表しました。
まず、2035年に医師の数が1万5000人ほど足りなくなるという前提に基づいて、来年から医学部の入学定員を拡大するほか、定員を柔軟に調整する仕組みをつくります。
医師のなり手を増やす方策の一つとして、政府は、医療事故をめぐる医療従事者の訴訟負担を軽減するため、保険への加入を条件に、医療事故に関する「刑事処罰特例」を適用する方針です。
一方、医師の数の問題だけでなく、医師がソウルなどの都市部に集中し、医療サービスの地域格差が広がっていることと、皮膚科や整形外科など、医師が人気の診療部門に集中し、小児科や救急など必須医療の現場が人手不足になるという診療科の間での格差も問題となっています。
こうしたなか、政府は、地域医療を強化するため、国立大学病院や地域の病院に対して集中的に支援を行い、地域医療の改善につながる事業に3年間最大で500億ウォンを投じるということです。
さらに、地方の大学の医学部にはその地域で育った学生の入学を優先させるほか、大学と学生、そして自治体の3者が契約を結び、医師をその地方に定住させる制度の導入も進めます。
また、必須医療の強化として、政府は2028年まで10兆ウォン以上を投じてこの分野の診療報酬を集中的に引き上げる方針です。
一方、全国の医師らでつくる医師会は、人口の減少などを考慮すれば、医師の数は足りているとしたうえで、医師を地域に縛り付けたり、専攻科目を制限したりすることは、根本的な解決にならないとして、強く反発しています。