サムスングループの経営権の継承を有利に進める目的で、グループ企業の株価を不正に操作したなどとして、業務上背任などの罪に問われたサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長が、一審で無罪判決を言い渡されたことを受けて、検察は、判決文を分析したうえで控訴するかどうか、決める考えを示しました。
検察は、グループ傘下の第一毛織とサムスン物産の合併は李会長がグループの経営権を継承するためのもので、この2社を合併させる過程で、グループ内での組織的な不正取り引きや株価操作、さらに業務上の背任があったとして、2020年の9月に李会長を在宅起訴しました。
しかし、ソウル中央地方裁判所は5日、2社の合併の目的は経営権の継承だけではないと判断したほか、株主に損害を与えたとする証拠がないとして、無罪を言い渡しました。
これを受けて、検察は5日、「判決の事実認定と法理判断を分析したうえで、控訴するかどうかを決める」と明らかにしました。
控訴の期限は、今月13日です。
サムスングループの経営権の継承をめぐっては、今回の裁判とは別に、李会長が企業合併への後押しを期待して、当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領の側近に賄賂を渡した罪などで起訴され、2021年1月に懲役2年6か月の実刑判決が確定しましたが、その年の8月に仮釈放され、おととし、現政権から恩赦を与えられています。
今回の1審で無罪となったことについて、前回の裁判で贈賄の事実を認め、有罪とした大法院の判断に矛盾するのではないかという指摘が出ています。
これについて、ソウル中央地方裁判所は、「前回の裁判は、経営権の継承のために朴大統領に賄賂を送ったことをめぐる裁判で、今回の裁判は、企業の合併の違法性を問うものだ」と説明しています。