尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、韓国を訪問しているアメリカのIT大手、メタのザッカーバーグCEOと面会し、「人工知能を活用したフェイクニュースと偽りの扇動は、自由民主主義を脅かす深刻な問題だ」という懸念を伝えました。
ザッカーバーグ氏は27日から3日間の日程で韓国を訪問し、LG電子やサムスン電子と技術協力について議論したほか、韓国のスタートアップとも意見を交換したということです。
最終日の29日には、尹大統領とおよそ30分間、面会しました。
このなかで、尹大統領は、ことしは世界各国で選挙が予定されているため、メタのような巨大IT企業が、フェイクニュースなどをモニタリングして速やかに対処できるよう、引き続き関心を持って取り組んでほしいと要請したということです。
4月に総選挙が控えるなか、先日、偽物の尹大統領が国民に謝罪するフェイク映像がソーシャルメディアで拡散したことを受け、大統領室が厳しく対応する方針を示したばかりです。
ザッカーバーグCEOは、メタはウォーターマークなどを利用することで、映像がAIで制作されたものかどうかを判別できると説明したうえで、一つの会社の力だけでは防ぎようのない問題であるため、多くのITプラットフォームが協力して取り組むことが重要だと述べたということです。
尹大統領はまた、AI産業に不可欠なメモリー半導体分野において、韓国企業が1位と2位を占めるなど競争力があると強調し、韓国企業との緊密な協力を求めました。
ザッカーバーグ氏は、サムスン電子など韓国企業との協力について、「現在の地政学的リスクなどを踏まえ、台湾のTSMCに対する依存度を減らすことに役立つ」としたうえで、「大手ファウンドリー企業としてのサムスンの地位が、メタとの協力を強化するうえで重要なポイントになる」と話したということです。