北韓がごみや汚物をぶら下げた風船を韓国側に飛ばすなどの挑発行為を続けていることに対抗して、大統領室は、北韓の体制を批判する放送を境界線付近で行うことも辞さないという方針を示しました。その数時間後、北韓は風船を散布を中断すると発表しました。
北韓は、脱北者の団体が韓国側から北韓に向けて、北韓の体制を批判するビラを飛ばしたことへの対抗措置として、先月28日に続き、今月1日にもごみや汚物をぶら下げた多数の風船を韓国側に向けて飛ばしていて、ソウルや近郊の京畿道(キョンギド)などで、これまであわせておよそ1000個の風船が確認されています。
これを受けて大統領室は2日、安全保障に関する緊急の会議を開いて対応を協議し、「北韓にとって耐え難い措置に着手する」という方針を発表しました。
大統領室の高官も同じ日に、南北の軍事境界線近くに設置した大音量のスピーカーで北韓に向けて宣伝放送を行うことについても、「再開を視野に入れている」と発表しました。
宣伝放送とは、北韓の体制に対する批判などを、北韓の住民や軍人に向けて大音量で流すことによって、金正恩(キム・ジョンウン)体制に揺さぶりをかけるというものです。
現在は、2018年の南北首脳会談にあわせて発表された、境界線付近での敵対行為を禁じた「板門店宣言」にもとづいて中止されています。
韓国側が宣伝放送の再開を示唆した数時間後、北韓のキム・ガンイル国防次官は、朝鮮中央通信を通じて談話を発表し、風船の散布を「暫定的に中断する」と明らかにしました。
これは、韓国側の警告のメッセージが影響を及ぼしたものとみられます。
ただ、風船を飛ばすことは、韓国側が北韓の体制を批判するビラを散布したことへの「徹底した対応措置」だとしていて、韓国側が、再度ビラを飛ばした場合は、「100倍の量を散布する」と警告しました。