北韓とロシアが「包括的戦略パートナーシップ」条約を締結したことについて、アメリカ政府やメディアは、懸念を表明しています。
アメリカのホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議は、現地時間の19日、「ロシアと北韓の協力強化は、大きく懸念すべき流れだ。アメリカは、ウクライナやインド・太平洋の同盟国を引き続き支援していく」と強調しました。
海外のメディアは、「ソビエトの崩壊と冷戦終息以来、ロシアと北韓がもっとも強く密着することになったシグナルだ」と分析しています。
アメリカの日刊紙「ニューヨーク・タイムズ」は、「今回の条約は、北韓がロシアに弾道ミサイルなどを支援した見返りとして受け取ったもののうち、もっとも目立つものだ。ロシアがアメリカとともに、国連で核開発をめぐって北韓に対して制裁を加えていた時代は、もはや終わったようだ」と述べました。
CNNは、「プーチン大統領の北韓訪問は、孤立していた金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に大きな力を与えた。近く、ロシアが北韓に衛星の打ち上げなどに関する先端技術を移転する可能性も排除できない。北韓がロシアから食糧や軍事技術の提供を受ける場合、北韓を非核化交渉の場に引き出すことは、さらに難しくなるだろう」とコメントしました。
またアメリカの経済新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、アメリカの国防、情報関係者の話として、「ロシアによる北韓、中国、イランとの協力の強化は、ウクライナへの軍事侵攻が終わったあとも、長い間、アメリカやその同盟国を威かくすることになる。敏感な技術の共有にまで広がる可能性がある」と伝えました。
さらにNATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は19日に行われたアメリカのブリンケン国務長官との共同記者会見で、ロシアと北韓が結んだ条約について、「ウクライナへの軍事侵攻は、中国、北韓、イランが支援していて、これらの国は、アメリカとNATOが失敗するのを見たがっている。彼らがウクライナで成功すれば、世界はさらに弱体化し、危険にさらされる」と懸念を示しました。