政府が進める医学部の定員拡大をめぐって、大学医学部など医療界側が執行停止を求めていた仮処分申請について、最高裁判所にあたる韓国の大法院は、申請を認めないとした一審判決を支持し、再抗告を棄却しました。
医学部の教授や専門医、医大生ら18人が保健福祉部長官と教育部長官に対して、医学部の定員拡大の執行停止の仮処分を求めて出した申請について、大法院は19日、認めないとした一審判決を確定しました。
大法院は、医学部の教授や専門医、医学部への進学を希望する受験生の場合、定員拡大の直接当事者ではないため、訴訟の要件である利害関係者にはあたらないとした一審判断は正しいとしました。
しかし医大生に限っては、定員が増えることによって、十分に教育を受けることができるかが懸念されるとして、学習権の侵害を理由に利害関係が認められるという判断も維持しました。
また、医学部の定員拡大をしないことによって、地域医療の回復など、公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがあるほか、受験生と教育現場にもかなりの混乱をもたらす恐れがあることなども考慮したと説明しています。
医学部の定員拡大をめぐっては、医療界側が裁判所に出した執行停止の仮処分の申請に、大法院が判断を示したのは初めてで、政府と医療界がこの問題を争っている訴訟は、事実上一段落するとみられています。
現在、ソウル高等裁判所には、関連する仮処分申請が10件あまりとどまっていますが、今回の大法院の判断を受けて、棄却または却下される見通しです。