大統領室は、北韓とロシアが相手国が攻撃を受けた際に直ちに軍事的援助を提供する内容の条約に署名したことを糾弾し、ロシアと戦争中のウクライナに対して殺傷兵器を支援しない従来の方針について、「見直しを検討する」考えを明らかにしました。
大統領室の張浩鎮(チャン・ホジン)国家安全保障室長は20日午後、声明を発表し、北韓とロシアが「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名し、軍事的・経済的協力を強化することで合意したことについて、「厳重に遺憾を表明するとともに糾弾する」と述べました。
張室長は、韓国戦争とウクライナへの侵攻など侵略戦争を起こした北韓とロシアが、「起きもしない国際社会の先制攻撃を想定して軍事協力を約束することは、詭弁で理屈に合わない」と強く批判しました。
また、「北韓の軍事力増強につながる、いかなる協力も国連安全保障理事会の決議に反する」とした上で、「北韓を支援することは、韓国とロシアの関係に否定的な影響を及ぼしかねない」と警告しました。
特に張室長は、「ウクライナへの武器支援の方針について、見直しを検討する」と述べました。これまで韓国は、ウクライナに対して殺傷兵器を支援しない方針を貫いてきました。
これに先立ち、北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、ロシアのプーチン大統領と19日に首脳会談を行い、相手国が武力攻撃を受けた際には、直ちに軍事的援助を提供する内容が盛り込まれた「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名しました。
これにより、韓半島有事の際、ロシアが軍事介入する可能性が浮上する中、韓国政府もロシアと戦争中のウクライナに対する軍事的支援の可能性を示唆したことから、今後、国際情勢はさらに緊張感を増すものとみられています。