急速に進む少子高齢化への対応を強化するため、副総理をトップに、少子高齢化への対応を専門に担当する新しい省庁が設置される見通しです。
政府は1日、関係省庁による記者会見を開き、少子高齢化への対応を担当する「人口戦略企画部」を新設することなどを内容とした政府の組織改編案を発表しました。
副総理がトップを務め、少子高齢化や移民の受け入れを含む人口関連の中長期的な国家発展戦略の策定のほか、人口政策の企画・分析、少子化関連予算の配分などを担当することになります。
韓国では、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」が2022年に0.78となっていて、OECD=経済協力開発機構の加盟国の平均1.5人を大幅に下回り、加盟国の中で最も低くなっています。
この問題について尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はことし5月、急激な人口減少は、韓国社会のもっとも根本的で致命的な問題だとして「人口非常事態」を宣言し、急速に進む少子高齢化に対応するため少子化対策を担う省庁を新設する方針を発表していました。
人口戦略企画部の設置には、野党も前向きで、設置に向けた手続きは順調に進むものとみられます。
一方、今回発表された政府の組織改編案の中には、政府と国会の懸け橋の役割を担う「政務長官」のポストを新設する案も盛り込まれています。国会で野党が議員数の過半数を握るなか、政府と国会との意思疎通を強化する狙いがあります。
また、当初、廃止の意向を示していた男女平等の啓発や性暴力被害者の支援などを担う女性家族部は、今回の改編案に含まれず、当面は維持される見通しです。
政府は、人口戦略企画部の新設などに向けて、政府組織法など関連法の改正案を今月中に国会に提出する方針です。