放送と通信の管理にあたる政府の放送通信委員会の金洪一(キム・ホンイル)委員長が、自らに対する弾劾訴追案が国会に提出されるのを前に辞意を表明し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はこれを受け入れて、2日、辞任を承認しました。
金委員長は去年12月、李東官(イ・ドングァン)前委員長の後任として就任しましたが、李前委員長同様に、最大野党の「共に民主党」が主導する弾劾訴追案が国会に提出される直前での辞任となりました。
弾劾訴追案が、野党が多数を占める国会で可決されれば、その是非について憲法裁判所の判断が出るまでの間、委員長の職務は停止され、放送通信委員会は事実上、副委員長の1人体制になって業務が遂行できなくなるため、これを防ぐねらいがあったものとみられています。
「共に民主党」は、本来、定員が5人の放送通信委員会で、委員長と副委員長の2人だけで重要な決定を下していたことは違法であり、これまでに議決した事項はすべて無効化すべきだと主張しています。
放送通信委員会は、KBS、MBC、EBSの公共放送3社の理事会メンバーを任命することができますが、MBCの理事会は先の文在寅(ムン・ジェイン)政権で任命された野党寄りの人物が中心となっているため、8月の任期終了を機に現政府寄りの人物に入れ替えられるのではないかという懸念から、「共に民主党」が金委員長の弾劾訴追案を国会に提出しようとしていました。
これに先立って放送通信委員会は、先月28日、公共放送3社の理事会メンバーの任命計画案を審議・議決して、今月11日までの14日間を公募期間としていました。