去年、海兵隊員が殉職した事故をめぐって軍の隠蔽や捜査妨害があったとして、通常の検察から独立した特別検察官を設置して捜査するよう求めていた法案は、大統領が拒否権を行使して否決されましたが、野党側が再び提出し、4日の国会本会議で野党単独で可決しました。
尹大統領が再び拒否権の行使するものとみられ、与野党の対立は今後も続く見通しです。
法案は、4日の本会議で、法案に反対する与党の議員の大半が欠席する中、最大野党「共に民主党」を中心とする野党側の議員による賛成多数で可決しました。
この法案は、今年5月の国会本会議で野党単独で可決されたあと、尹大統領が拒否権を行使したことで国会に差し戻され、5月28日、再び採決が行われましたが、出席議員3分の2による賛成が得られず否決されました。
野党側が再提出した法案が、野党単独で再び可決されたのを受け、大統領室は今回も拒否権の行使を示唆していて、大統領は、法案が送られた日から15日以内に拒否権を行使するものと見られます。
差し戻された法案が成立するには、国会の在籍議員の半数以上が再議決に参加し、その3分の2の賛成が必要となりますが、与党側は全296議席のうち108議席を確保しているため、与党側の8議席以上が造反し賛成に回らない限り、法案は否決されることになります。
一方、野党側は、殉職した海兵隊員の一周忌を迎える7月19日以前に法案を成立させることを目指しています。
国会で与野党の激しい対立が続いていることで、今日行われる予定だった第22代国会の開会式も与党側が出席を拒否し、見送られることになりました。