北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は、韓国政府が南北の境界線付近で射撃訓練を再開したことについて、「尹政権が韓半島で緊張を作り出すことで 危機から抜け出そうとしている」と非難しました。
韓国政府は先月、軍事境界線付近で敵対行為をしないとする2018年の南北軍事合意の効力をすべて停止し、北韓に近い海域での海上射撃訓練や、軍事境界線から5キロ以内の射撃場での地上射撃訓練を6年ぶりに再開しています。
金与正党副部長は8日、朝鮮中央通信を通じて発表した談話の中で、尹錫悦大統領の弾劾を求める国民請願者数が100万人を突破したことに触れ、「尹政権が危機に陥っている」と主張しました。
そのうえで、韓国軍が南北の軍事境界線付近で射撃訓練を再開したことについて、「わが国の門前で露骨に行った敵の火遊びは、明白な情勢激化の挑発的行動だ」と批判し、韓半島で緊張を作り出すことで、尹政権が危機から抜け出そうとしていると主張しました。
金副部長の談話について、韓国の統一部の具炳杉(ク・ビョンサム)報道官は8日の定例会見で、「北韓が韓国の国家元首を非難するなど内政干渉をしている」と指摘し、「非常に遺憾だ」と述べました。
具報道官はそのうえで、「韓国社会の国論を分裂させようとする北韓の試みは決して通用しない」と強調しました。
韓国軍は、今後も計画通り、軍事境界線付近での地上射撃訓練を行う方針です。