キューバに駐在していた北韓の外交官が、去年11月、韓国に亡命していたことがわかりました。
韓国政府消息筋によりますと、キューバ駐在の北韓大使館に務めていた、リ・イルギュ参事は去年11月、妻と子どもを連れて韓国に入国しました。
リ参事は、2回にわたってキューバに勤務した代表的な南米通です。
2013年に北韓の船舶が武器の違法所持によってパナマ当局に抑留された際、乗組員の釈放をめぐるパナマ当局との交渉に成功し、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長から表彰状を授与されました。
リ参事は去年、神経を痛めたため北韓外務省に対してメキシコで治療を受けたいと要請したところ拒否され、亡命を決心したということです。
北韓の伝統的な友好国であるキューバは、去年2月、韓国との国交樹立を発表しましたが、リ参事は、北韓のキューバ大使館で、韓国とキューバとの国交を阻止する任務を担当していたと、朝鮮日報が報じています。
リ参事は、2016年に韓国に亡命した元イギリス駐在北韓公使、太永浩(テ・ヨンホ)氏のあと、韓国入りした北韓の外交官の中で最も高いポストに就いていた人物となります。
コロナ禍が終わったあとのここ数年間、北韓が海外駐在官の交代を行っていることを背景に、世界各地に駐在していた北韓のエリート層の亡命が相次いでいます。
統一部によりますと、いわゆる「エリート階層」の脱北者は、去年はおよそ10人と、2017年以降で最も多くなっています。
また韓国に入国した脱北者は、北韓による国境封鎖の影響で2017年の6分の1程度に減少しましたが、海外駐在員の亡命は相次いでいます。