北韓が21日にごみなどをぶら下げた風船を韓国に飛ばしたことを受けて、韓国軍は、南北の軍事境界線付近の一部地域で行ってきた拡声器による宣伝放送を、全ての前線地域に拡大し、2日連続で実施しています。
韓国軍は、北韓が21日午前、ごみなどをぶら下げた風船を韓国側に飛ばしたことを明らかにし、この日の午後から拡声器による全面的な宣伝放送を開始したことを明らかにしました。
北韓が21日に韓国に向けて飛ばした風船は500個あまりで、このうち240個が京畿道(キョンギド)北部やソウルなど韓国側に落ちたということです。
放送は22日も午前6時から午後10時まで、16時間続けられる予定です。
韓国軍は、北韓からのごみ風船への対抗措置として、ことし6月、およそ6年ぶりに宣伝放送を再開しました。
宣伝放送は、東部、中部、西部の各前線で交代で行われていましたが、21日午後からは全ての前線地域で同時に宣伝放送が行われています。
放送では、北韓の外交官が韓国に亡命したことや、DMZ=非武装地帯の北側地域で地雷の埋設作業中に爆発事故が発生し、多数の北韓兵士が死亡したことなどが伝えられ、情報が厳しく統制されている北韓に対し、内部で知られていない内容を伝えることで、軍人や住民の動揺を誘うことに狙いがあります。
北韓は、全面的な宣伝放送が始まった21日の午後8時以降、風船の散布を中止しています。
韓国軍は現在、前線地域に設置された24台の固定式の拡声器を使って宣伝放送をしていますが、北韓が今後も挑発を続けた場合、移動式の拡声器を使った放送もさらに追加し、宣伝効果をより高めることも検討しています。