趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官は、ラオスで開かれたARF=ASEAN地域フォーラムに出席し、ロシアと北韓が軍事協力を強化していることを非難しました。
ARF=ASEAN地域フォーラムは、北韓が唯一参加している、安全保障について話し合う多国間協議の枠組みで、ASEAN10か国と韓日米3か国、中国、ロシアなど合わせて27か国が参加しています。
ラオスの首都ビエンチャンで27日に開かれたARFに、北韓は崔善姫(チェ・ソンヒ)外相に代わって李永哲(リ・ヨンチョル)駐ラオス大使を派遣し、ロシアからはラブロフ外相が出席しました。
趙長官はロシアと北韓の代表も同席する会議の席上、北韓とロシアの軍事協力は「北東アジア、ひいては世界の平和と安定を脅かすものだ」と批判しました。
また趙長官は、ラブロフ外相との略式会談でも、北韓とロシアの軍事協力の強化に向けた動きについて、懸念を表明しました。
一方、趙長官は、現地時間の26日に開かれたASEAN関連会議の夕食会で、北韓代表の李大使に握手を試みたところ避けられたと、記者団に明らかにしました。南北間の冷え込んだ関係が鮮明になった形です。
北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が昨年末に、韓国を敵対国家とみなして対韓国政策を全面的に見直す方針を打ち出して以来、南北の代表が顔を合わせるのは今回が初めてです。
なお、近日中に発表されるARFの議長声明に、「北韓とロシアの接近を牽制する」との表現が盛り込まれるのかに注目が集まっていましたが、その可能性は低いものとみられています。
その理由について、外交部の高官は、「すべての声明には締約国の立場をバランスよく取り入れなければならないという暗黙の合意がある」と述べ、北韓とロシアの反発が背景にあることを説明しました。
議長声明は、参加各国との協議を経て、議長国が作成する仕組みになっています。