世界文化遺産への登録が決まった日本の「佐渡の金山」について、戦時中に朝鮮人が過酷な労働環境で働いたことを説明する展示に「強制」の文言が使われていないことがわかり、韓国で批判の声が上がっていますが、韓国大統領室は、世界文化遺産の登録前に日本政府から先制的な措置を導き出したことに意義があると説明しています。
「佐渡の金山」をめぐっては、韓国政府が「韓半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だ」として反発し、韓日両政府が話し合いを続けてきた経緯がありますが、韓半島出身労働者に関する歴史を含む「全体の歴史」として、地元の展示施設「相川郷土博物館」で戦時中の労働環境を説明するとともに、毎年7~8月に「佐渡の金山」で働いた労働者の追悼式典を行うと日本政府が約束したことで、韓国もユネスコ委員国として登録に同意しました。
ところが、韓国メディアの取材で、展示には「強制動員」という文言が使われていないことが明らかになり、批判の声が出ています。
これについて、韓国大統領室の関係者は29日、KBSとの電話インタビューで「強制動員という表現は明示されてはいないが、展示内容を見れば、朝鮮総督府が関与して労働者を募集したという文言とともに、朝鮮人労働者の過酷な現実が記されている」と説明しました。
そして、「脱出を試みた朝鮮人労働者が捕まった話や、収監生活の描写もある。事実上、強制動員の歴史と雰囲気を知ることができる」としています。
さらに、長崎県の端島炭坑、通称「軍艦島」などが含まれる「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録される際、日本政府が朝鮮人労働者に対する強制動員の歴史を知らせると約束したにもかかわらず、守らなかったことに触れながら、「日本政府が、世界文化遺産登録前に先制的に朝鮮人労働者の展示室を設けるなどの措置を行った。日本側の行動を導き出したという点で意義がある」と述べました。