尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は11日、次期検察総長の候補に法務部の沈雨廷(シム・ウジョン)次官(53)を指名しました。
鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長は、沈氏について「検察からの信頼が厚く、法治主義の確立に確固たる信念を持つ人物だ」と紹介しました。
沈氏は、忠清南道(チュンチョンナムド)公州(コンジュ)市出身で、ソウル大学法学部を卒業したあと、1994年に司法試験に合格しています。
ソウル中央地方検察庁の刑事1部長、法務部の企画調整室長、大検察庁の次長検事などの要職を歴任しました。
尹大統領が検察総長だった当時、秋美愛(チュ·ミエ)元法務部長官が尹総長の職務停止を発表した際には、反対する立場を表明したことがきっけで、尹大統領の信頼を得たものとみられ、尹政権のもとで大検察庁の次長検事を務め、ことし1月に法務部次官に任命されました。
尹大統領が沈氏を指名したのは、任期半ばを迎え、検察組織の安定化を図りたい狙いがあるとみられます。
沈氏は、いまの民情首席や大統領秘書室長とも近く、大統領室と大検察庁の間の意思疎通が円滑になると期待する声がある一方で、逆にこれに懸念を示す声もあがっています。
いまの李沅ソク(イ・ウォンソク)検察総長は、金建希(キム・ゴニ)夫人の不正疑惑の捜査をめぐって「法の前に例外も聖域もない」として徹底した捜査の姿勢を示し、大統領室と対立していたことから、大統領室がトラブルを起こしにくい人事を選んだという分析も出ています。
沈氏は指名を受けたあと記者団に対して、尹大統領の妻、金大統領夫人の捜査についてコメントし、「事件の詳細に言及するのは適切でない。ただし、法律と原則にもとづいて捜査を進めている」と述べるにとどめています。