尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」の式典で、「韓半島全体に、自由で民主的な国家が樹立されて初めて完全な解放が実現する」と述べ、統一を目指す考えを強調しました。
尹大統領は15日午前、ソウルの世宗(セジョン)文化会館で開かれた光復節の式典で演説し、「分断体制が続く限り、解放は未完成だ。韓半島全体に自由で民主的な国家が樹立されて、初めて完全な解放が実現する」と述べました。
演説のなかで、尹大統領は、政府の公式な統一の在り方である「民族共同体統一案」が発表されてから30年を迎えたことを踏まえ、統一をめぐる新たな構想を発表しました。
構想では、「統一大韓民国」を目指す考えを強調し、そのためには、まず、北韓の住民が自ら自由意志にもとづく統一を望むよう、外部の情報との接触を進めるとしています。
また、北韓の人権状況に関する国際会議を開いて、国際社会の関心を高めるとともに、「北韓自由人権ファンド」をつくり、北韓の人権状況の改善に取り組む民間の活動を、積極的に支援するとしています。
さらに、7月下旬に北韓で発生した豪雨被害をめぐり、政府が今月1日に緊急援助物資を提供する用意があると発表したことに言及し、「北韓住民の苦しみから目を背けないという意志を示したものだ。北韓は拒否したが、政府は人道支援をあきらめない」と述べ、北韓に対して人道支援を行う考えを強調しました。
尹大統領はこのほか、北韓に対して南北当局の実務者が参加する「対話協議体」の設置を提案し、「緊張緩和を含む経済協力、人的往来、文化交流、災害と気候変動への対応までいかなる問題も扱える」と述べ、北韓当局の前向きな対応を呼びかけました。
去年の光復節の演説では、金正恩(キム・ジョンウン)政権を批判する一方で、韓日や韓日米の連携を強調するメッセージが目立っていましたが、ことしは、新たな統一構想が中心で、日本政府や金正恩政権に関する直接的な言及はありませんでした。