研修医らが多数職場を離脱するなど、医療界の混乱が続くなか、対応可能な病院が見つからず、救急患者の搬送が行われなかった事例が、この5か月間で273件にのぼることが明らかになりました。
保健福祉部によりますと、今年3月から7月までの5か月間に、中央救急医療状況室と広域救急医療状況室には合わせて5201件の救急患者搬送要請がありましたが、このうち、対応可能な病院が見つからず、搬送が行われなかった件数が273件に上ったということです。
大型の総合病院の研修医らは、今年2月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発表した大学医学部定員の拡大方針に反発し、一斉に辞表を提出していて、これによって、医療現場には混乱が広がっています。
これを受け、政府は重症患者や救急患者を優先的に診療するため、大型の総合病院と他の総合病院との間で協力を強化するなどの対応を行いましたが、依然として患者の受け入れ体制の空白が埋まっていないことが、今回の保健福祉部の発表で浮き彫りになりました。
専門家は、「各地域の総合病院の救急室の運営が限界に達しており、その負担が中小規模の病院に転嫁されている。救急患者が増加する旧盆の秋夕(チュソク)連休には、大混乱が発生する可能性がある」と懸念を示しています。
一方、退職届を提出した研修医の退職処理を完了した各研修病院では、今年下半期の研修医の募集を行い、研修医の復帰を促しましたが、志願者は21人にとどまっており、医療の空白がさらに長期化する可能性があるとみられています。
研修医の募集は、例年、上半期と下半期の2回にわたって行われます。