北韓の軍人が南北軍事境界線を越え、韓国軍に身柄を確保されたことがわかりました。拡声器による宣伝放送が影響したとの分析が出ています。
北韓の軍人1人が20日未明、江原道(カンウォンド)高城(コソン)地域の南北軍事境界線を歩いて越え、韓国軍に身柄を確保されました。
これに先立ち、今月8日にも、北韓の住民1人が漢江(ハンガン)河口の南北中立水域を越え、韓国に亡命しています。
韓国は先月21日、北韓がごみや汚物をぶら下げた風船を韓国側へ飛ばしたことへの対抗措置として、軍事境界線付近の拡声器をすべて使用して大規模な宣伝放送を開始しました。
今月脱北が確認された2人とも、拡声器の音が届く範囲で動線が確認されているため、拡声器による宣伝放送が影響した可能性があります。
また、軍事境界線付近の前方部隊の勤務条件悪化も、脱北につながったとの分析が出ています。
北韓では、ことし夏の深刻な水害によって食糧難がさらに深刻になると予測されていますが、前方部隊は物資の普及が滞っていて、自給自足するという厳しい環境に置かれているものとみられます。
北韓当局は最近、中国駐在の貿易代表部の職員に帰国を指示したほか、北韓に住む中華圏出身の住民の活動も制限したとされていて、中国との関係悪化も経済難につながったものとみられます。
金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、鴨緑江周辺で発生した水害の被災者を平壌に呼んで食事を提供するなど、慰問を行っていますが、北韓の住民の心をつかむことはできずにいるとの分析が出ています。