尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)夫人の高級バッグ授受疑惑を捜査していたソウル中央地方検察庁が、金夫人に対し「嫌疑なし」とする結論を下したことについて、李沅䄷(イ・ウォンソク)検察総長は23日、外部の民間委員で構成される「検察捜査審議委員会」に意見を求めました。
金夫人はおととし9月、韓国系アメリカ人の牧師からおよそ300万ウォン相当の高級ブランドのバッグを受け取ったとして、収賄の疑いなどが持たれていましたが、捜査を担当したソウル中央地方検察は22日、これについて「嫌疑なし」という結論を李検察総長に報告しました。
これを受け、李検察総長は、翌日の23日、収賄容疑や弁護士法に抵触するかどうかなどを含め、検察捜査審議委員会に意見を求めることを決定しました。
捜査審議委員会は外部の専門家で構成された委員会で、検察が捜査結果を説明し、意見を求めることになります。委員会は最大300人の委員の中から無作為に選ばれた15人で構成され、主に社会的関心が高い事件が審議の対象となります。
李検察総長は26日、検察捜査審議委員会に諮問した理由について、「消耗的な論争が続いている事件について、外部機関の意見を聴いたうえで、公正に事件を終結させるのが望ましいと判断した」と説明しました。
金夫人をめぐる疑惑については、大統領室と法務部が捜査を担当するソウル中央地方検察の指揮部を尹大統領に近い人物に交代させたことや、金夫人に対する事情聴取が検察の庁舎ではなく政府施設で行われたことなどから、最大野党「共に民主党」を中心に「捜査が公正さに欠く」として批判の声が上がっています。
李検察総長が、検察捜査審議委員会に意見を求めたことについては、政治的な論争を避ける狙いがあるという見方も出ています。
検察捜査審議委員会の意見には法的拘束力はありませんが、これまで政治的論争を引き起こした事件では、検察が審議委員会の意見を尊重するケースが多かったため、今回の委員会がどのような結論を出すのか、注目が集まっています。