韓国の江原道(カンウォンド)寧越(ヨンウォル)郡にある上東(サンドン)鉱山の採掘が、再開されることについて、アメリカなど西欧は、半導体やバッテリーの生産に欠かせない、タングステンの中国への依存度を下げることができるとして、大きな期待を示しています。
上東鉱山は、韓国の鉱業会社「大韓重石」が1916年からタングステンを採掘してきた鉱山でしたが、中国産の安価な鉄マンガン重石におされて、1993年に廃鉱となっていました。
この上東鉱山を、カナダの鉱業会社「アルモンティ・インダストリーズ」が2020年5月、1億700万ドルを投じて子会社を設立して買い入れ、タングステンの採掘再開を準備しています。
アルモンティ・インダストリーズが28日、発表したところによりますと、アメリカ地質調査所傘下の国立鉱物情報センター(NMIC)の調査団が、このほど、上東鉱山を訪れて状況を視察したということです。
アメリカの国立鉱物情報センターは、世界の重要鉱物の生産やサプライチェーンの情報収集や分析で、重要な役割を果たしており、今回調査した上東鉱山についての情報は、来年1月から3月期に公表される報告書に盛り込まれる見通しです。
カナダのアルモンティ・インダストリーズによりますと、この調査団は、韓国が再びタングステン市場に参入することによって、中国産タングステンへの高い依存度が下がるとして、上東鉱山の採掘再開を急ぐべきだと強調したということです。
中国産のタングステンは、世界の供給量の80%以上を占めているとされていますが、韓国寧越郡に建設中のタングステン精錬工場が完成すれば、年間4000トン以上のタングステンを生産できるため、現在、中国産タングステン・オキサイドへの依存度が95%に上っている韓国の半導体やバッテリー業界の需要も、まかなえるものとみられています。