韓国の憲法裁判所は、政府の温室効果ガスの削減目標などを定めた「炭素中立基本法」について、2031年以降の削減目標を示していないのは、国民の基本権の侵害につながるおそれがあるとして、憲法違反だとする判断を示しました。
韓国では2020年から2022年にかけ、青少年や市民団体などが、政府の削減目標は憲法で保障された健康に生きる権利や環境権などを保障しておらず違憲だとして4件の訴訟を起こしていました。
これについて、憲法裁判所は29日、裁判官9人全員の一致で炭素中立基本法第8条第1項は憲法違反だとする判断を示しました。
炭素中立基本法では、大統領令に定める削減率を削減目標とするとし、2030年までに2018年比で温室効果ガスを35%以上、削減すると明記していました。
これに基づいて政府は、「2030年までには2018年と比べて40%削減」という削減目標を掲げましたが、2030年以降についての削減目標は盛り込まれていませんでした。
今回の判決で憲法裁判所は、「2031年から2049年までの詳細な削減目標を設定していないのは、国民の基本権を保護するための最低限の措置をとっていない」として、憲法違反だとする判断を示しました。
今後は、この最高裁判決に基づき、政府は2026年2月28日までに関連法を改正することになります。
気候をめぐる訴訟で判決が出されたのは、オランダやドイツなどヨーロッパ各国やアメリカを除いてアジアでは初めてとなります。