政府が進める大学医学部の定員拡大に反発して、研修医が集団で退職するなど医療界のストライキが続いている影響により、全国の救命救急センターの運営が支障をきたしていることを受け、政府は軍医や、兵役の代わりに保健所などに勤務する公衆保健医師を救急センターに緊急配置することにしました。
保健福祉部は、2日に行ったブリーフィングで、救急センターの運営を円滑化するため、軍医と公衆保健医師など230人あまりを順次、投入すると明らかにしました。
また、今後、コロナ禍当時のように、毎日のブリーフィングを通じて、救急医療に関する情報を提供するということです。
さらに、今月中旬の中秋の名月にあたる、秋夕(チュソク)の連休中、病院の休業により救急センターに患者が集中し、混乱が増す場合に備え、11日から25日を非常救急対応期間に指定し、救急医療を支援することに決めました。
一方、政府は、「救急センターの99%にあたる406か所は24時間運営中だ」として、救急センターの運営が支障をきたしているのは、一部に過ぎないとしています。
政府によりますと、病床を縮小し運営している救急センターは27か所で、全体の6.6%だということです。
しかし、政府が発表したとおり、ほとんどの救急センターが24時間体制で運営されているのは事実ですが、研修医が医療現場を離れた影響で、救急センターで勤務中の医師は、平時の7割ほどとなっていて、搬送先の見つからない救急患者が増えています。
消防庁の資料によりますと、ことし上半期に発生した救急車の再搬送件数は2645件でしたが、このうちおよそ4割が「医師不足」によるものだったということです。
全国医科大学教授非常対策委員会は2日、声明を発表し、政府の発表とは異なり、すでに多くの救急センターが医師不足により、正常な診療ができておらず、秋夕の連休を起点に診療が制限されたり、運営を中断するところも出てくるだろうと懸念を示しています。