韓国で旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」がき損される被害が相次いでいますが、少女像の7割以上は保護に関する条例や管理主体がなく、こうした行為を防止し、処罰するのが難しい状況であることがわかりました。このため、少女像の保護に向けた制度の整備を求める声が高まっています。
野党「祖国革新党」の議員が23日、女性家族部から提出を受けた資料によりますと、韓国国内に設置された152体の少女像のうち、72.4%に当たる110体は、保護や管理に関する条例が存在していないということです。
地域別に見ると、京畿道(キョンギド)では77.8%、ソウルでは63.6%の像が条例の適用を受けておらず、大田(テジョン)や大邱(テグ)など4つの地域では、関連条例が全くない状況です。
先月、少女像など被害者をたたえる記念物を損なう行為を禁止し、処罰することをなどを内容とした法案が相次いで国会に提出されましたが、まだ成立には至っていません。
韓国では、ことし3月と4月に、ソウル市内の公園に設置された少女像に「撤去」と書かれたマスクや黒いビニール袋がかぶせられる事件が発生しました。
さらに、今月初めには、慶尚南道教育庁前の少女像に、ハングルで「慰安婦詐欺はもうやめろ」などと書かれたプラカードが置かれたほか、日本語で「少女像は慰安婦詐欺劇の宣伝道具」とするプラカードも発見されていて、少女像の保護と管理を強化するための制度整備が急務とされています。