政府が進める大学医学部の定員拡大に反発して、研修医が集団で退職するなど、医療の空白が長期化し、懸念が高まっているなか、大統領室は、医療界の意見を反映するための新たな機構を設立する方針を発表しました。
大統領室は29日、2026年度以降の大学医学部定員拡大について、医療界の意見や要求を幅広く取り入れるための機構を新設する計画を明らかにし、機構の構成や運営計画についての審議を終えたと発表しました。
この機構は、10人余りの専門家が参加し、過半数の専門家の推薦枠を医師団体に与えることで、医療人材の需給を決定する際に、医療界の意見がより反映される仕組みとなっているということです。
機構は、医学部卒業生数や人口動態、健康保険のデータをもとに、今後必要な医療人材数を推計し、2026年度以降の医学部定員拡大枠についても議論することになります。
この機構の設置は、医学部の定員拡大を中心とした医療改革について、医療関係者と直接話し合う場として、先月、大統領直属の特別委員会として設置された医療改革特別委員会が提案したもので、一方で検討が進められている政府、与野党、医療界の協議の枠組みについては、発足に向けた進展がみられないなかで、これに代わる役割を果たすとの見方もあります。
しかし、大韓医師協会は、「何の根拠もなく推進している来年度の定員拡大をまず中止すべきだ」と主張し、その要求が受け入れられなければ、機構への参加は困難だとしていて、政府と医療界の対立は今後も続く見通しです。