韓国人作家として初めてノーベル文学賞を受賞した韓国の女性作家、韓江(ハンガン)さんは、受賞後のインタビューで、「とても驚いていて、光栄に思う」と感想を述べ、自身にインスピレーションを与えてくれた多くの作家にも感謝の気持ちを伝えました。
今年のノーベル文学賞に選ばれた韓江さんは、選考委員会との電話インタビューで、「ちょうど息子と夕食を終えた8時ごろに受賞のことを知った」と述べ、「とても驚いていて、光栄に思う」と感想を述べました。
韓江さんは、1994年に小説家としてデビューしました。韓国の主な文学賞を多数受賞し、作家として活発に活動してきました。
その後、2016年には短編集『菜食主義者』で、ノーベル文学賞とともに世界3大文学賞とされる国際ブッカー賞を受賞し、世界的な支持を集めました。
2007年に発表した『菜食主義者』は、幼少期に経験した暴力へのトラウマから肉食を拒むようになった女性が、極端な菜食に走り、死に近づいていくという話です。
この作品は、「人間の欲望」という普遍的なテーマを取り上げ、世界的に注目されなかった韓国の文学作品の価値を格上げしたと評価されています。
また、2014年に発表した『少年が来る』では、韓国の光州(クァンジュ)で起きた民主化抗争「光州事件」を題材にし、最新作『別れを告げない』では、アメリカ軍政下の済州(チェジュ)島で起きた武力弾圧の「4・3事件」を取り上げ、韓国の現代史の傷を文学作品に昇華させたと評価されました。
ノーベル賞選考委員会は、「歴史のトラウマと向き合い、歴史的事実を独特な形で取り上げた作品」と評価しました。