尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、来年1月の導入が予定されている、株式の売買など金融投資によって発生した所得に対して税を課す「金融投資所得税」を廃止するため、与野党に協力を呼びかけました。
金融投資所得税は、株式や債券などへの投資で得た年間の収益が、国内への投資は5000万ウォン、海外への投資は250万ウォンを超える場合に課されるもので、超過分の20%から25%の税率が適用されます。
韓国では、筆頭株主の株式譲渡を除いては、国内の株式市場が海外に比べて、金融取引に対する税率が低くなっていますが、金融投資所得税が導入されれば、控除額を超える金額に対して、国内で海外と同じ税率が課されることになります。
このため、金融投資所得税が導入をめぐっては、投資資本の海外流出や、不動産市場への流入が懸念されているほか、従来の金融取引の際に課される制度に比べ、税収確保の側面でも実効性が低いという指摘がありました。
これに対し、金融投資所得税に廃止による恩恵を受けるのは、個人投資家の上位1%ほどに過ぎず、むしろ税収が減るだろうという意見もあり、与野党を問わず意見が分かれています。
金融投資所得税は、2020年に法案が成立し、当初、去年から施行される予定でしたが、尹政権が2年間の猶予を設けたことで来年施行の予定となっていました。そして、尹大統領はことし初め、金融投資所得税の廃止を推進すると発表しました。
尹大統領は、15日に開かれた閣議で、「企業価値を高め、投資を行った国民がより大きな収益と資産形成の機会を得る好循環を作るべきだ」として、「金融投資所得税の廃止のために、与野党が力を合わせてほしい」と述べました。
また、資本市場を活性化に向けた政策に拍車をかけるため、株主に配慮した配当の増額や自社株の買い付けを行う企業に対しては、さまざまなインセンティブを提供する考えも示しました。