韓国の情報機関である国家情報院が、北韓がウクライナに侵攻するロシアを支援するため、1万人を超える兵士を派遣する決定を下したと発表し、今後の北韓とロシアの動向に注目が集まる中、韓半島の安全保障情勢に与える影響が懸念されています。
国家情報院は18日、ロシアと軍事的な協力を深める北韓が、ウクライナとの戦闘のためにおよそ1万2000人の兵士を派遣することを決定したもようで、すでに、1500人の兵士がロシア極東ウラジオストクに到着したと明らかにし、韓国の偵察衛星が撮影したとみられる、北韓兵士を乗せたロシアの艦艇が移動する様子が写った写真を公表しました。
また、国家情報院は、北韓が去年8月以降、ロシアに152ミリ砲弾や、ロシア製の北韓版「イスカンデル」とされる短距離弾道ミサイル「KN23」を提供してきたとしています。
北韓軍の派兵は、今年6月に北韓とロシアが締結した「包括的戦略的パートナシップ条約」にもとづくものとみられています。この条約には、どちらかの国が攻撃を受けた際、もう一方の国が支援することが定められており、今回の派兵はその最初の例となる可能性があります。これにより、韓半島で有事が発生した場合、ロシアが介入する可能性が高まったと専門家らは指摘しています。
また、専門家らは、「韓米同盟と朝露同盟の対立が拡大される可能性があり、韓半島の安全保障をめぐる状況が大きな転機を迎えている」との見解を示しています。
さらに、北韓がロシアを支援することで、ロシアが北韓にICBM=大陸間弾道ミサイルや軍事偵察衛星の高度化に役立つ技術を提供する可能性があり、経済的な支援も加速する可能性があるとみられています。
これに先立ち、韓国政府は、ロシアが北韓にICBMなど、核・ミサイルの核心技術を提供すれば、ウクライナに殺傷兵器を支援することもありうると警告しています。
韓国政府は、ウクライナが最も必要とする砲弾50万発をアメリカを通して間接的に支援したことはありますが、ウクライナに殺傷兵器を直接支援することには慎重な立場を示しています。