北韓のロシアへの派兵をめぐって、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はNATO=北大西洋条約機構のルッテ事務総長と21日、電話で会談し、共同で対応を取ることで一致しました。一方韓国の抗議に対して、ロシアはロ朝の協力は主権的な権利だと反発しました。
この会談はルッテ事務総長の要請で行われ、尹大統領は、ロ朝の軍事的接近について、「韓半島と世界の平和を脅かすものであり、韓国政府は決して座視しない」と述べました。
ルッテ事務総長は、ロ朝の軍事協力などに関する詳しい情報の共有のため、韓国政府にNATOへの代表団の派遣を要請したのに対し、尹大統領は、代表団を速やかに派遣し、韓国とウクライナ、NATOの間の安全保障協力の活性化に向けた措置を取ることで一致しました。
韓国の情報機関、国家情報院は18日、ロシアと軍事的な協力を深める北韓が、ウクライナとの戦闘のためにおよそ1万2000人の兵士を派遣することを決定したもようで、すでに、1500人の兵士がロシア極東ウラジオストクに到着したと明らかにし、韓国の偵察衛星が撮影したとみられる、北韓兵士を乗せたロシアの艦艇が移動する様子を写した写真を公表しています。
尹大統領が直接、NATOとこの問題をめぐって会談したのは初めてです。
一方、外交部の金烘均(キム・ホンギュン)第1次官は21日、尹大統領とルッテ事務総長が会談する前に、ジノビエフ韓国駐在ロシア大使を呼んで、北韓のロシアへの派兵などロ朝の軍事協力について強く非難し、「即刻の撤収」を求めました。
これに対して、ジノビエフ大使は、ロ朝の協力は韓国の安全保障の利益に反しないと反論しました。
また、ロシア大統領府は現地時間の21日、「北韓との関係の発展はわれわれの主権的権利だ」と反発し、北韓の派兵については回答を避けました。