北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、暗殺を警戒して警護のレベルを引き上げる動きがあると、韓国の情報機関、国家情報院が明らかにしました。
国家情報院によりますと、金委員長の暗殺などを考慮し、通信妨害用の車両やドローンの探知装置を導入するなど警護を強化しているということです。
ウクライナへの侵攻を続けるロシアに、北韓が派兵したことが明らかになるなか、金委員長に対するテロ攻撃に備えるための措置とみられます。
アメリカやイスラエルなどが中東などでの紛争で、暗殺を行っていることや、ロシアへの派兵によって北韓内部でも動揺が広がることが、金委員長にとってリスクになる可能性があります。
ただ、ロシアへの派兵に対する北韓内部の動揺を抑えるために、警護のレベルを引き上げるとともに、金委員長の活動をより多く公開しなければならない状況です。
国家情報院によりますと、ことしの金委員長の活動の公開は現在まで110回、去年に比べておよそ6割増えたということです。
一方、後継者教育を受けている金委員長の娘、ジュエ氏の地位が一部格上げされたとの分析を国家情報院は示しました。
国家情報院は、ジュエ氏について、「メディアなどに登場する頻度を調節しつつ、党の行事まで活動範囲を広げている」としたうえで、金委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長の案内を受けたり、崔善姫(チェ・ソンヒ)外相に補佐される姿から、「ジュエ氏の地位が一部格上げされたものとみられる」と説明しました。
また、「ロシアの大使と談笑する場面や、金委員長との『ツーショット写真』の公開をはじめ、専属の警護員を随行させる様子などから確固たる地位が感じられる」と説明しました。