韓国国内で、パーキンソン病の症状改善を目的にES細胞=胚性幹細胞を活用した研究が成果を上げたことがわかりました。
パーキンソン病は、運動機能を調整する「ドーパミン」を分泌する脳の細胞が死滅することで、ふるえが出たり転びやすくなったりする運動障害が引き起こされる病気です。
今回の研究は、セブランス病院と高麗大学安岩(アナム)病院の共同研究チームが行ったもので、チームが12日に発表したところによりますと、様々なものに分化する万能細胞の一つとして再生医療への応用が期待されるES細胞をドーパミンを分泌する神経細胞のもととなる「神経前駆細胞」に分化させ、これを12人のパーキンソン病患者に移植した結果、手術から1年後に症状の改善が見られたということです。
移植前には歩行が困難で、自力でトイレに行けなかった患者たちが、1年後には1日5000歩以上歩けるようになり、卓球やバドミントンを楽しむほどに回復しているということです。
また、脳の画像検査でドーパミンを分泌する脳の部位が大きくなっていることが確認され、移植した神経前駆細胞がドーパミンを分泌する神経細胞へと成長したとみられます。
さらに、移植を受けた患者のうち3人の運動機能が平均で44%向上しており、この治療法がパーキンソン病治療における新たな選択肢となる可能性が示されました。
ES細胞の移植によるパーキンソン病治療の効果が確認されたのは、アジアでは初めてだということです。