尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3日夜、野党が国政をまひさせているとして、「非常戒厳」を宣布しましたが、国会が解除を要求する決議案を可決すると、宣布から6時間後の4日早朝、談話で、解除すると発表しました。
尹大統領は、3日夜、緊急の談話を発表し、「国会で多数を占める『ともに民主党』の主導で、今の政権が発足してから政府官僚の弾劾訴追が22件も発議されている」と指摘し、「来年の予算案も政争の手段として利用している」として、「国家機関を乱すことで内乱を画策する明らかな反国家行為だ」と主張しました。
そのうえで、「北韓に従う勢力を清算し、自由な憲法秩序を守るために『非常戒厳』を宣言する」と明らかにしました。
これを受けて戒厳司令部が、国会や地方議会での一切の政治活動を禁じることや、すべてのメディアが戒厳司令部の統制を受けるなどとする「布告令」を発表しました。
韓国で非常戒厳が出されたのは1987年に民主化が宣言されて以降、初めてとなります。
また、国防部は軍の態勢を強化し、戒厳司令部の部隊が国会の建物に突入する事態となりました。
これを受けて国会は、4日未明に本会議を開き、非常戒厳を解除するよう要求する決議案を、出席議員190人の全会一致で可決しました。
この後、 尹大統領は4日午前4時半ごろ、再び談話を発表し、軍を撤収させたとした上で「ただちに、閣議を通じて国会の要求を受け入れ、戒厳を解除する」と述べました。
ただ、尹大統領は「度重なる弾劾と立法壟断、予算の乱用で国家機能をまひさせる非道な行為は直ちに中止することを国会に要請する」と述べ、野党への不満を改めて示しました。