「非常戒厳」をめぐる混乱を受け、韓国の外交にもその影響が広がっています。
アメリカ国務省のパテル副報道官は5日の記者会見で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する野党の弾劾訴追案について、「弾劾の手続きは韓国の憲法に基づいて行われると考えている」と述べました。
また、「我々は、韓国の民主的なシステムとプロセスが勝利することを期待している」としたうえで、「アメリカと韓国のパートナーシップは、両国における特定の大統領や政府を超越するものだ」と強調しました。
一方、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官は6日、ブリンケン国務長官と電話会談し、「非常戒厳」をめぐる国内の状況について意見を交わしました。しかし、韓国国内の混乱が収まるまで、両国の外交正常化は難しいとの見方も出ています。
また、アメリカで4日から5日に開催を予定していた、核拡大抑止に関する協議の枠組みであるNCG=核協議グループの第4回会議と1回目の図上演習が延期され、オースティン国防長官の韓国訪問も見送られることが決まりました。
今後、韓日米3か国の連携が揺れることで、来年1月のトランプ政権発足後、先行きへの不確実性が高まるものとみられます。
梨花(イファ)女子大学のパク・ウォンゴン教授は、「韓日米3か国の連携は、誰がどのような目標を掲げて取り組むかが重要だ」としたうえで、「3か国の連携の条件になる韓日関係にこれまで尹大統領が積極的な立場を示してきただけに、韓国の政治的混乱が続くと、事実上、日本の対話のパートナーがいないことになる」と述べました。
「非常戒厳」による混乱を受け、各国の前職・現職首脳らの韓国訪問も延期や取り止めが相次いでいます。スウェーデンのクリステション首相と菅義偉元総理の韓国訪問が中止になり、石破総理も来年1月の韓国訪問を再調整する可能性がでてきました。