尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「非常戒厳」を一時宣布したことについて、7日午前10時から国民向けの談話を発表し、「国民に不安を与えた」と謝罪しました。ただ、「任期を含めて、政局を安定させる方法はわが党に一任する」と述べ、自らの進退については言及しませんでした。
およそ2分間にわたって行われた談話の中で、尹大統領は、戒厳令を出した理由について、「国政の最終責任者である大統領としての切迫感によるもの」と説明したうえで、「その過程で国民に不安と不便を与えたことに心からおわび申し上げます」と謝罪しました。
また、「再び戒厳を宣布することは決してない」と強調し、第2の戒厳を画策しているのではないかという疑惑を強く否定しました。
さらに、「私の任期を含めて政局を安定させる方法はわが党に一任する」と述べ、自らの進退については言及しませんでした。
「非常戒厳」を発表して以来、尹大統領が公式に立場を表明したのは今回が初めてです。
最大野党「共に民主党」など、野党6党は尹大統領の弾劾訴追案を発議し、7日午後5時にも、国会で採決が行われる予定です。
可決には在籍議員の3分の2の賛成が必要で、賛成が見込まれる野党や無所属の192人に加え、与党から8人の賛成が必要なことから、与党議員の動きがカギとなります。
与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は7日午前、尹大統領の国民向け談話を受けて、「大統領の正常な職務遂行はできない状況で、早期退任が不可避だ」と述べました。
韓代表は6日、「大統領の職務執行停止」が必要だとして、弾劾に賛成の立場を示唆していましたが、7日には「早期退任」に言及し、一歩後退した形になり、即時の弾劾よりは「任期の短縮」に重きを置いるのではないかという分析が出ています。