尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する出国禁止措置が出されるなど、「非常戒厳」宣言後の捜査が進んでいる一方、大統領室は今のところ、これといった反応を示していません。
尹大統領は10日、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理との毎週定例の面会を急きょ中止しました。
尹大統領は、前日の9日も公式日程をすべて取り消していて、大統領室は現在、定例の会議すらも開かれておらず、機能が停止した状態となっています。
また、大統領室は、尹大統領に対する出国禁止措置についても、立場を明らかにしていません。
大統領室の内外では、野党陣営が2回目の弾劾訴追案の採決を14日に行うとしていることから、大統領はそれまで、いかなる立場も示さないだろうという見方が出ています。
ただ、捜査機関による大統領室の家宅捜索が行われる可能性が浮上していることを受け、大統領室は、強制捜査に対する法律的な検討を行っているということです。
これに先立って、尹大統領は、与党と国務総理に権限を委任し、国政全般から手を引くと明らかにしました。
しかし、尹大統領の最側近とされ、尹大統領と同じく内乱罪の疑いがかけられている李祥敏(イ・サンミン)前行政安全部長官の辞意を9日、受け入れるなど、大統領の人事権を行使しているうえ、国防部も「現在、国軍の統帥権は、尹大統領にある」としているため、当面は混乱が続くものとみられています。