尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の「非常戒厳」の宣言について、中国は韓国の内政だとして沈黙を続けていましたが、尹大統領が12日に発表した談話で中国と関連のある内容を4回も言及したことを受け、直ちに反論しました。
尹大統領は12日に国民向けの談話を発表し、野党が国の安全保障と社会の安全を脅かしていると主張しました。
特に、2年間にわたって韓国の軍事施設などを撮影した中国人3人が逮捕されたことや、先月ドローンで国家情報院の建物を撮影して捕まった中国人を例に挙げ、「こうした状況を防ぐために、刑法のスパイ罪の条項を改正しようとしたが、野党が阻んでいる」と述べました。
尹大統領はまた、「亡国的な国家の統治組織を破壊する勢力がこの国を支配するならば、原発産業、半導体産業をはじめとする未来の成長動力は枯死し、中国製の太陽光施設が全国の森林を破壊するだろう」と主張しました。
これに対して中国外交部は12日、「韓国側の言及に深い驚きと不満を感じる」としたうえで、「韓国の内政問題を中国関連の要因と結びつけることに強く反対する」と述べました。
中国外交部は、尹大統領の「非常戒厳」の宣言について、韓国の内政であるためコメントしないとする立場を堅持していましたが、中国と関連のある主張を受け、反論したものです。
尹大統領が言及した中国人による不法撮影については、まだ結論に至っていないこととしたほか、太陽光施設が韓国の森林を破壊するとした発言については、中国製品が世界市場を席捲できたのは、技術発展のおかげだと強調しました。
これまで沈黙してきた中国政府が積極的に反論した理由として、尹大統領の弾劾に向けた動きが続いているなか、中国関連の問題が注目され、争点に発展するのを早期に防ぐ狙いがあるものとみられます。